魚皮をなめしてみた(リベンジ)

以前魚皮をなめしたのだが、いくつか気になる点・いたらぬ点があった。
そこを踏まえつつリベンジしてみたので、自宅で魚を鞣す際の参考にしてね。


魚革加工の課題点

魚革ってなんでこんなにポピュラーじゃないんだろう。やっぱりいくつか課題があるからだ。
自分が魚革加工をやっていて感じた課題点をいくつか挙げてみる。

①鱗処理が面倒くさい
もちろん哺乳類革の下準備も大変だが、魚革はさらに大変だと思う。
何でかっていうと魚には鱗がついているからだ。鱗を適当に取ろうとすると魚皮が傷つくし、かといって丁寧に鱗を取っていくのは非常に手間がかかる。

②魚臭い
加工しても、魚の生臭さというか独特の臭いが残ってしまう。
臭いの原因となるものを取り除く、更に強い香りで上書きする…などの工夫が必要だ。

③耐久性が低い
魚皮は薄いため哺乳類の皮と比較してコラーゲンの層が薄い。
コラーゲンの層が薄いと、革の柔軟性・耐久性が確保できない。

④加工面積が小さい
一般的に魚は哺乳類よりも小さい。となると加工できる魚皮の面積ももちろん小さい。
革面積が小さいと加工先の幅がかなり狭まる。バッグとか服とか作ってみたいけどパッチワークみたいに繋いでいくしかないもんね。かなり大変だ。

最低限これらをクリアしなければ魚革加工はポピュラーになっていかないのだろう。
といってもあらゆる試行錯誤をして商品化しているショップは既にあるわけで。あくまでも素人として、これらの課題の解決案を探りながら魚皮なめしにリベンジしてみようと思う。

今回はめちゃ安かったコロダイでいろいろ試してみるぞ!

これで700円。すごい。

STEP1 鱗処理

そもそも鱗があるから処理が面倒くさくなる。だったら鱗がない・小さい魚を使えばいいよね。
パッと思いつくのは鰻とか鮟鱇とか。カツオなどの側線部分にしか鱗がない魚や、鰤のような鱗が小さい魚が加工にうってつけだと思う。

どうしても鯛などの鱗が大きい魚を加工したいのであれば、包丁や鱗取りではなくピンセットや指などで丁寧に抜いていくことをおススメする。鱗を雑に剥がし取ろうとすると、魚皮ごと傷つけてしまうからだ。

これだけ仕上がりに違いが出る。

ここでもうひとつ注意しなければならないのが、側線周りの鱗(側線鱗)だ。
側線鱗は水圧や振動を感じ取るセンサーとなっており、魚皮と接着している。
ちょっとやそっとじゃ引っこ抜けず魚皮が傷む原因となるが、こればっかりはしょうがないので諦めよう!!

側線鱗。小さい穴が空いている。
側線周りはどうしても皮が傷ついてしまう。

STEP2 洗浄&脱臭

まず魚臭さの発生源はどこか。それは魚皮についている身・脂になる。
個人的に、とにかく重要だと思うのは、魚皮についている身を丁寧に丁寧に取りきることだ。
ただその時に削りすぎてしまうと皮が薄くなってしまうし、コラーゲン層もなくなってしまうので、要注意。スプーンで優しくこそいでいこう。

こそぎ終わった後。なぜか裏面の写真撮ってなかった。

次に魚皮を塩漬けにし、余計な水分を抜いていく。

塩がたくさん
パリパリ魚皮。皴がついているのは良くない。

最後に魚皮についている脂を落としていく。弱アルカリ性の洗剤に漬けこみ、洗浄して終わり。
臭いが気になるのであればこの工程を何度も何度も繰り返そう。

STEP3 タンニン漬け

魚皮は薄いため、哺乳類の皮より耐久性が低い。マグロの皮など分厚いものを加工するか、しっかり魚皮を鞣すことで革を強固かつ柔軟性のあるものにしていこう。

過去のブログではお茶からタンニンを抽出した液で試してみたが、恐らくタンニン濃度が薄く、まだまだ鞣しが足りていないのだと思う。

ということで、今回は本格的な植物由来のタンニン剤を購入してみた。
それがこの…

ケブラチョエキス!!
何とも言えない香り

今までの人生で一度も聞いたことがない単語。ケブラチョという南米地域に分布する木を粉末にしたものだそう。タンニンが多く含まれているため、この粉末を水に溶かし、そこに魚皮を漬け込むことになる。

まずはケブラチョ溶液を作っていく。

ケブラチョ粉末300gを1ℓのお湯で溶かして…
ペットボトルに入れて保管

哺乳類皮の場合は、濃度が低いタンニン溶液→濃度が濃いタンニン溶液の順番で漬け込んでいく。
最初に濃いタンニン溶液につけてしまうと、表面だけがタンニンと反応してしまい、中までタンニンが浸透していかないからだ。今回取り扱う魚皮は薄いため、濃度を変える必要はないかもしれないが薄いタンニン溶液から漬けてみる。

まずは濃度10%程度の溶液を作成(先ほどの溶液300mlを水300mlで薄めたもの)

十分黒い

溶液に漬け、時々ひっくり返しながら1週間程度放置。

表面
裏面

透明なコラーゲン層がなくなり繊維感が生まれている。この時点で十分に革らしい。

次に濃度20%程度の溶液にドボン(最初に作成したケブラチョ溶液の原液)
同じく1週間程度放置。

表面。素晴らしい黒さ
裏面。より革らしい。

余分なタンニン成分を落とすために水に一晩漬けておく。これをしておかないと表面のタンニン成分が乾いて固まり、革を折り曲げた際に亀裂が入ってしまう。

しっかり水に漬けこむ。

次に皮が縮まないようにクリップなどで留めて乾かそう。

素晴らしい。

STEP4 加脂

次に乾いた魚革に油分を追加して、柔軟性を持たせていく。
今回もハンドクリームを使ってみよう。ということで魚皮に練りこんでいく。

ぬりぬり
まごうことなき革
ちゃんと柔軟性もある?

STEP5 加工部分の切り出し

加工に使えそうな部分を切り出していこう。

この革のうち
穴が空いている個所を避ける

側線部分は穴が空いているため、そこを避けると革の面積が大分狭まってしまう。財布やアクセサリーなどの小物を加工するようにしよう。
もし大きな革が使いたいなら、側線鱗がない魚やマグロなどの大きな魚を使ってみよう!!

ということで魚革鞣し完了!!

どういう風に加工するかはまた別の記事で…!

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