『森の掟』赤い怪獣を作ってみた

自分が大好きな絵画、岡本太郎の『森の掟』。
真ん中にいる赤い怪獣を革で作ってみたよ。

「森の掟」とは??

『森の掟』とは、「芸術は爆発だ!」でおなじみの芸術家 岡本太郎氏による作品。
岡本氏が唱えた「対極主義」に基づき描かれたものである。

KIRIN~美の巨人たち~
美の巨人たちでは、多くの作品群から一枚の絵(作品)にスポットを当て、その一枚に塗り込められた秘密を深く追いかける事で、美の巨人達の人間像をドキュメントしていきます。

「対極主義」とは、正反対の要素をひとつの作品の中で表現すること。矛盾している者同士が共存し、激しい対立・緊張感がある状況でこそ、新たな局面が生まれるのでは…という考え方らしい。
下火ではあるが多様性が重視されている昨今においてはそこまで珍しくない考え方のように思えるが、この作品が発表された1950年頃は”前にならえ”の画一的な社会であったろうし、当時は革新的な表現方法だったのだろうか。

これは【有機物・農業】⇔【無機物・工業】の対比。『重工業』リスペクト

では『森の掟』でいう、矛盾している者同士の共存とは何を指しているのか。

・有機物(赤い怪獣) ⇔ 無機物(ファスナー)
・平和(平和な森) ⇔ 暴力(赤い怪獣の乱入)
・文明(ファスナーとかゼンマイとか) ⇔ 自然(猿とか森とか)

他にも色々考えられるかもしれないが、なんにせよそういった要素のぶつかり合いが、この絵特有の躍動感を生んでいるのだろう。

と、ここまであーだこーだ言ったけど、自分にとってはそんな小難しい話どうでもいい。
僕はこの赤い怪獣がかっちょかわいいから好きなのだ!!対極主義が生み出した魅力なのかもしれないが、とにかくキャラデザが気に入っている。

初めてこの絵を知ったきっかけである「美の巨人たち」を見ていた時も、展示会に行った時も、この赤い怪獣から目が離せない。なんだったら色んな角度から見てみたい。だったら作ってみようじゃないか。

作り方

調べてみると、過去には粘土模型が展示されていたみたい。
でもせっかくファスナーがチャームポイントなんだから、革で作ってみようかな。

①革を用意する

合皮でいいよ

②染色する
怪獣の色に合わせて、赤色に革を染めるぞ。

クラフト染料。ホームセンターで売ってるよ
革に塗りひろげていく。原液そのままで大丈夫。
3回塗り重ねた。原液を使ってしつこく染めたので、色むらはない。

③革絞り技法の型を作る
今回、怪獣を成形するにあたって革絞り技法(ウェットフォーミング)を使う。
革は水で濡らすと柔らかくなり、乾くと固まるといった”可塑性”を持っている。
その性質を利用し、型を使って革を自由に成形する技法だ。

まずはオーブン粘土で怪獣の型を作っていく。

100均で売ってるよ
何だこれは
焼いたものがこちら。分かりづらいけど、上あごと胴体だよ。

④革を成形する
染色した革を水で濡らし、型を使って成形していく。
ファスナーを取り付ける背中側が開くように、革を巻き付けよう。

型に押しあてながら巻きつける

もちろん、これだけだと革は型の形にならない。上から糸を巻き付けていこう。

エギみたいになった

⑤乾かし形を固める
丸一日陰干しした後に、糸を解く。

胴体と上あご。しっかり形が定着している
糸の跡が残り、リアルな生き物のようになった。嬉しい誤算だ。
ハサミで切って形を整える。エビみたい。

⑥パーツを作る
赤い怪獣の色んなパーツを革で作っていく。

まずは左右のヒレ?
一気に生き物らしくなった
目玉
一番重要なファスナーも縫い付ける。
違う生き物ができた。でもすごい岡本太郎っぽい。
牙もちまちま作って…
下あごも作って縫い付ける

ということで…完成!

あれ、なんか足りない気がする…
そうだ!理不尽に噛まれている人がいないんだ!

今度こそ完成!

大迫力

まとめ

できたぞ!赤い怪獣!
筆箱みたいにして普段使いできたらなって思っていたけど、口が開いてるから無理だよね。

ブーン

赤い怪獣をいろんな角度から見てみたぞ。

上から。なんらかのSCP
前から。絶対強い。

ということで、好きな絵画の新たな一面を見ることができた。
漫画の二次創作する人ってこんな気持ちなんだろうか。

生き物の中から加工品が…これもまた対極主義ということで

『森の掟』には他にもたくさんのファンキーな生き物が描かれている。ウルトラマンみたいな猫、シャンプーハット被った猿、折紙くん、足の少ないハルキゲニアとか。今知ったけどパンツ一丁の人もいる。いつか全てのキャラクターを形にできたらいいな。

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